「やったもんが勝ち!」 って正しいこと?

「やったもんが勝ち」 という言葉は、昨今の社会や職場では「金言」となっています。
 「勝てば官軍」も同じような意味合いでしょう。

しかし、官軍に負けた新撰組会津藩の人々の思いが如何ばかりだったか、
思いを寄せれば、
「やったもんが勝ち」 とばかり言って欲しくない気持ちが偲ばれます。

「やったもんが勝ち」 と、「行け行けドンドン」とやる人がいる半面、
なかなか自分の気に入ったことが出来ず、悶々としている人もいます。

私の知っている自称作曲家で、生涯かかって1曲も発表出来ていない人が何人かいます。
 
あの大作曲家ブラームスでさえ、
交響曲は何としても書きたい。
しかし,ベートーヴェンの後にいったいどんな曲を書けば良いのか?」
と、20年間もの間、悩み続けたと言われています。

曲が発表出来ないからと言って、彼ら作曲家たちを非難出来るでしょうか~?。
発表出来ず悶々としている彼らにも、豊かな芸術が秘められているのです。

ドイツ滞在中、沢山の教会でコンサートをやる機会に恵まれ、こんな田舎で、
まったく無名で、こんな素晴らしい演奏出来る人がいるんだ!
という発見をする機会が度々ありました。
彼らには「やったもんが勝ち!」 という言葉など、
まったく関係の無い世界だと思いました。

日本の企業や会社では
「やったもんが勝ち」、 「数字で示せ」、「負け犬の遠吠え」
といった言葉を「社訓」のように駆使し、ブラック企業スレスレに働かせます。

そして、さらに学校や塾や、社会のいたるところでそれらは活かされ、暗力を発揮しています。
今や、「金言」となって、世の中に定着していることに空恐ろしい気がします。

「やらなくていいんだよ! 大切なことを大切にさえすれば~」