失った人たちと、ピンボケしていない人達

今、フルート奏者でウイーン音楽大学教授のシュマイザー氏を招いて講習会を行っています。
その講習会に台湾からも大勢の受講生が来て下さっています。
台湾の学生さんを見ていると、30年から40年前の日本を彷彿とさせられます。
 
基礎力がまだ十分でない段階で、楽曲選びでは、かなり背伸びして難曲に挑戦しています。
急いて難曲に挑戦し、呼吸法や姿勢、指の型に歪が来ています。
 
同じことを、私達もやっていました。 (過去形にしてよいかどうかは不明ですが‥‥。)
 
でも、彼らはよく練習します。
そして、演奏中やレッスン中に入退場するときは、きちんと、音の出ていない瞬間を見計らって、ぬき足差し足で移動する心遣いや、シュマイザー先生から話しかけられたときは、即座に反応し、対応する姿など、私達日本人が30年から40年前に置いて来てしまった、知性や教養を確実に存続させているのに感心させられます。
 
台湾の人達も30年から40年後には、音楽会に来て、演奏中にドヤドヤと入って来て、靴音高く移動したり、なんの目的もなくただ学校にきて時間を浪費したりするような人で溢れるようになるのでしょうか?
 
純粋で、ひたむきな彼らを見ていると、とてもそんな風になるとは思えません‥‥。