ネルロ・サンティ(Nello Santi)さんとの出会いは、マンハイムの歌劇場でヴェルディの「ナブッコ」を一緒に演奏させていただいた時でした。
当日は 午前中:直前リハーサル(ゲネプロ)、 午後:卒業試験、 夜:「ナブッコ」の本番~と、大変な一日となったので、忘れようにも忘れられない一日となりました。
サンティさんとの演奏は未だに鮮やかに私の脳裏に焼き付いているほど鮮烈でした。
でっぷりとした身体と、少し垂れ目の風貌からは、優しそうで、人なつっこそうに見えますが、音楽が始まると、頭の毛先から(毛はあまりありませんでしたが~) つま先までが全身音楽の塊のようでした。
すでにオペラ界の「パガニーニ」と呼ばれる程の「カリスマ的存在」でしたので、私の目には既に70才は超えたお年寄りのように見えたのですが、
2020年、88才で亡くなられたということから計算すれば、当時はまだ44才だったことが判明しました。
凄かった筈です!
リハーサルするサンティ氏の表情を思い出します。この顔でスコアの細部まで(暗譜して) イタリア語の階名で歌って指導してくれました。
本番中このサインが発せられる度に、メンバーみんな極度の緊張状態になりました!