巨匠 “ギュンター・ヴァント” 逝く
ギュンター・ヴァント(Günter Wand) 1912年1月7日 - 2002年2月14日(90歳没)
私は、 マンハイム市立歌劇場管弦楽団の定期演奏会で、幸いにもギュンター・ヴァント氏の指揮でブルックナーの交響曲第7番を演奏する機会に恵まれました。
当時ギュンター・ヴァント氏は64才でしたが、既に「ブルックナーの権威」とか「巨匠」と言われていたので、大いに畏敬の気持ちを抱いて臨んだものです。
ギュンター・ヴァント氏の指揮は思いのほか、淡々と、黙々と進んで行きます。
しかし、時間が経つほどにいつの間にか壮大な音楽の中に引き入れられていました。
彼はテンポに関して稀有な感覚を持っていて、「正しい」テンポの設定を常に模索し続けていたそうです。
とりわけブルックナーの交響曲のように、同じ音型を何度も何度も繰り返しながら、徐々に盛り上がっていく音楽作りは圧巻とも言えました。
厳格なテンポ設定があってこそ成しえるものだと、敬服させられました。
今もなおあの重厚、壮大な音の響きが私の耳に響き続けています。