ブロムシュテット氏の指揮

NHKクラシック音楽館」でブロムシュテットの指揮でベートーベンの交響曲1番、2番、3番が連続演奏されていました。
88才とはとても思えぬ生き生きとした音楽で、溌剌としたベートーベンの世界に惹き入れられました。
どんな時にも演奏者が芯から音が出せるようなポイントを巧みに明示し、無駄のない小さな動きの中から、オーケストラに爆発的なエネルギーを出させる巧妙な指揮は見事でした。
そのくせ、ちっとも汗をかいたり、息を切らせたりしないことに驚かされます。

私自身を含め、日本人は大汗かいたり、息を切らしたりする演奏をしてしまいます。
それを美徳とさえ考えているかも知れません。
でも、ブロムシュテット氏の指揮を見ていると「それは余計なこと」と考えを改めさせられます。

ブロムシュテット氏の指揮を見ていると「緩急」のバランスが良ければ、汗をかいたり、息をきらせたりしなくて済むということを知らされます。
汗をかいたり、息をきらせたりするのは、「緩急」のうちの「急」に偏り過ぎているからだと思いました。
あの偉大な指揮者リヒャルト・シュトラウスも「コンサートが終わったとき汗をかいているようなら、何かやり方が間違っているということだ」という言葉を残しているくらいです。