難曲志向で大丈夫かな?

生徒を上手く上達させられるかどうかは、師匠の教材の与え方にあるとも言えます。

私は生徒の実力より「少しだけレベルの高い」教材(楽曲や教本)を与えるようにしています。
「少しだけ」という部分が、師匠の腕のみせどころと思っています。 

私の「少しだけ」の度合いは、生徒の実力より100~110%くらいというのを目安にしています。
その幅は、生徒の能力や熱意によっても差があるからです。

同じ110%くらいでも、少しの努力でクリアする生徒もいるし、四苦八苦する生徒もいます。
でも、いつも、少しは頑張らなくてはならないということでは共通しています。

110%くらいの範囲なら、悪いクセも付かずに、かつ、適当な意欲を持ってやっています。

それが、生徒の能力の120%以上のことを要求すると、間違った運指や悪いクセを生んでしまいます。

そんな「匙加減」をしていただける師匠が、いつも身近にいる人は幸せでしょう。

しかし、師匠に習っていても、中には150%、200%を越えるような曲をやりたがる生徒も確かにいます。
200%を越えてやってしまったら、もう演奏はメチャクチャです。

しかも、本人にはその無謀さも解っていないので、カーネギーホールでリサイタルをやってのけたフローレンス・フォスター・ジェンキンズ女史の「冗談音楽」さながらです。

そういう生徒をたしなめたこともありましたが、逆切れされるばかりでした。