日本人のリズム感

クラシック音楽に関して、日本人の演奏は国際的な水準に達しているという声は、もう随分前から言われていることです。
それでも、善し悪しは別として、日本人特有の演奏スタイルというものは厳然として存在しています。
欧米で生まれ育ったか、永く欧米で育った人には、その日本人特有の演奏スタイルが消失している人もいます。
その土地で長年暮らすということが、その人の音楽に大きな影響をもたらすということは肯定せざるを得ません。

これを「自虐的」に捉える批評家もいますが、抵抗し難い宿命と考え、これからはそれを個性として演奏しなくては意味がありません。

例えば
欧米人の演奏には躍動するようなリズム感がある。
日本人のリズム感が「ヨイショ」と椅子に腰掛けるような感じが多いのに対して、欧米人は「ヨイショ」と椅子から立ち上がるリズム感を持ち合わせている。
日本には宴会の締めのような、演奏を締めるようなリズム感が重用されます。それに比して、欧米のリズム感は人を踊らせたり、行進させたり、始まった時点からまさに動きを開始させる要素が多い、というのが特徴ではないかと思います。
日本古来の大名行列は同じ行進でも、西欧の行進とは違って、一歩一歩終結感があります。
宴会の手拍子でも、一拍一拍もみ手、すリ手で完結感を有しています。