上達の秘訣

私がフルートを始めたころ、周囲に教えてくれる先生はいませんでした。
自己流でした。
というより、当時聴くことのできた「マルセル・モイーズ」のレコード、しばらく経ってからは「ジャン・ピエール・ランパル」「ジュリアス・ベーカー」「ミッセル・デボスト」などのレコードを聴いて、それを頼りに吹いていました。
その後も、オーレル・ニコレ、カール・ハインツ・ツェラー、マクサンス・ラリュー、ペーター・ルーカス・グラーフ、パウル・マイゼン、パトリック・ガロワ、ジェームス・ゴールウエイと、次々に現れる名手の演奏を聴いては、あこがれ、真似していました。
小さな子供が物まねで、器用にタレントそっくりに歌ったり、踊ったりできるのですから、見よう見真似が上達の有効手段であるのは確かです。

教える立場になってから心がけたこと、あるいは余儀なくされたことは
自分がいつも大演奏家になったつもりで吹くこと、あるいは「あのジェームス・ゴールウエイやエマニュエル・パユなど、尊敬する大フルーティストならどう吹くか?、ということを必ず念頭において吹くということでした。