檸檬(レモン)
不思議な絵です。
我家の女流画伯の絵は抽象というか、夢想というか、20年以上も見守り続けていますが、未だに彼女の頭の中の構想に追っつけません。
今回は静物画~? と、思いきや、
単純に写実的に写生したようなものでもありません。
「絵とは正確に写生するもの」と教わった者には理解し難い世界です。
農村の落ち着いた村落に行くと、揃いもそろった構えの家、同じようによく剪定された松やサツキ、柘植(つげ)の庭園。
そこには、同じように決まりきった美感覚が在ります。
彼らが絵を描けば、きっと同じような平安な山村の美しい絵が生まれてきそうに思います。
それが普通の、絵に対する感覚なのでしょう。
でも、彼女の絵は、そうしたものとはまったくかけ離れています。
一個の檸檬(レモン)から、物語が始まっていきます。
その筋書きは彼女にしか解りませんが…。