技巧、テクニックに走っていませんか?

今、バンクーバー冬季オリンピックが開催されていますが、
フィギュアスケートについての、日本と外国の違いを、こう論評する人がいました。
たとえば音楽に例えると、
リストやシューマンプロコフィエフなどの超絶技巧の大曲で勝負するのに対して、外国はモーツアルトハイドン、せいぜいベートーヴェンの初期のソナタを音楽的にきちっと演奏しているようなものだ、と。
この言い方が的を得ているとするならば、音楽をやっている人達にはとても理解し易い解説です。

フィギュアスケートに限らず、音楽の世界でも同じようなとらえ方をしていると思います。

例えば、日本のピアノのコンクールや試験では、モーツアルトハイドンベートーヴェンの曲では地味で、審査員になかなか高い評価を得るのが難しく、ついつい超絶技巧の曲を演奏することになってしまいます。
内容がなくとも、テクニックを駆使した近代超絶技巧の曲のほうが高く評価されるようです。
まだまだ、音楽の内容(フィギュアスケートで言えば芸術点というところでしょうか?)で、きちんと評価出来るところまで、「ジャッジ力」も「教育力」も育っていないのでしょうか‥‥?

したがって、モーツアルトハイドンベートーヴェンの曲は、勉強の過程では、一応経験しておかないとということで、少しは取り上げられるものの、練習曲のような扱いで、学ぶ機会を失いつつあります。

実は、モーツアルトハイドンベートーヴェンこそ、学ぶべき「音楽」がいっぱい詰まっているのに‥‥。

他にも、クレメンティ、クーナウ、クーラウなど素晴らしい作品がいっぱいあるにも関わらず、ピアノリサイタルなどで取り上げられることもほとんどありません。
練習曲に押しとどめるには、もったいない作品です。

音楽の本当の大切なものが忘れられて突っ走る時だからこそ、モーツアルトハイドンベートーヴェンクレメンティ、クーナウ、クーラウ様方にもっと登場して欲しい! 
あっ!バッハさん書き忘れてゴメンなさい!